’99.7.13号
有力エコノミスト10人が徹底予測
九九年度の景気はこうなる
九九年一月〜三月期の実質経済成長率発表以来、景気論争が活発化している。景気は底を打ったのかか、それとも更に下降線をたどるのか。編集部は有力エコノミスト一〇人にアンケート調査をした。更にアンケート結果を久恒啓一宮城大学教授に依頼して図解した。

 証券会社やシンクタンクなどに在籍するエコノミスト10氏の景気アンケート結果を図解した。
 九九年度のGDP予測では、2・0%という最も高い数字を挙げた藻谷俊介氏を除いて、残り9人はプラス0.8%からマイナス0.8%の間におさまっている。
 政府は、一〜三月のGDP成長率が高い伸びを示したことから九九年度の政府経済見通し0.5%の達成に自身を見せている。しかし、政府見とおしを上回る数字を挙げたのは藻谷氏のほか山川哲史氏と宅森昭吉氏だけで、10人中七人は政府見とおしの達成は困難と見ている。
 二〇〇〇年のGDP予測では、九九年度と同じか高い成長を予測したのは七人だった。 
「今年度後半の日本経済に重大な影響を及ぼす事象」を尋ねた質問に対しては、過半数のエコノミストが加熱気味の「米国経済の失速」リスクを挙げていることが注目される。
 また二人以挙げたのは「政府の補正予算」と「コンピュータの二〇〇〇年問題」だった。
 公的需要の息切れによる景況の再度の悪化を防ぐため、補正予算の規模に関心が集まっているが、その執行の多くは二〇〇〇年度に持ち越されそうだ。コンピュータ二〇〇〇年問題は、何らかの問題が発生すると景気の足を引っ張りかねないが、駆け込み需要の発生を指摘するエコノミストもいた。
 このほか、「アジア経済の回復ぶり」「中小企業の在庫調整」「政府の雇用政策」「急激な円安」など、各エコノミストの注目点はさまざまである。中には中小企業経営者のマインドに大きな影響を与える読売巨人軍の逆転優勝が経営者心理を大きく左右するというユニークな見解もあった。また、今年から来年にかけて予想される解散・総選挙の「国民の選択」が政府の経済政策に大きな影響を及ぼすとの指摘もあった。
 少数意見であるが、藻谷氏は「九九年度は世界同時不況だったが、九九年からは世界同時好況になる」との強気の見方を示している。
また、日本経済が安定的成長軌道)(三%)に復帰する時期については「見えない」という意見が多かった。 

  週刊エコノミスト
 

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