地元で勝負!の地方大学。【宮城大学】

 都心に比べ、より学生集めが厳しいと言われる地方大学で、いま、“地方志向”というのがトレンドらしい。宮城県が平成9年に設立した宮城大学(大和町)も、その1つ。事業構想学部と看護学部の2学部からなる同大では、講義やゼミ、サークル活動を通して、学生が地域と密接に関わっている。
 仙台市に隣接する高清水町のまちづくりプロジェクトを手がけているのは、事業構想学部の『顧客満足ゼミ』に所属する4年生11人。ゼミ生は、実際に高清水町を訪れ、まちづくりの資源となりそうな史跡や自然景観を視察したり、町民に話を聞いたりといった実地調査を実施。同町の“21世紀まちづくり委員会”の委員らと意見交換しながら、まちづくりの方向性やアイデアを提案していく。同ゼミではこれまでも、顧客満足という視点から、仙台の空港、駅、高速道路といった“玄関口”調査や、仙台市内のホテルの視察を行い、アイデアを提供してきた。地元側からは、学生の柔軟な発想が高く評価されているという。
 同大では、県のホームページ運営を受託するチーム、小中学生向けインターネット講座運営を手がけるチーム、松島の観光産業開発に取り組む授業など、地域の行政機関や産業界に学生が本格的に関わる機会が多くある。「来年春、宮城大学から初めての卒業生が社会に出ていくことになりますが、地域事情に精通した学生に対して、地元経済界などから寄せられる期待は大きい」と、顧客満足ゼミを担当する久恒啓一教授は話す。
 最近、地元企業との産学連携や地域ベンチャー企業の支援に力を注ぐ大学が増え、また、県や市町村が出資し民間が経営するという“公設民営大学”の設立も活発になっている。人口減少や伝統的地場産業の低迷など課題を抱える多くの地方都市にとっては、大いに歓迎できる動きだ。地元で勝負しようという地方大学は、新しい大学の形の1つといえるだろう。

2000.06.15
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