〜宮城県への貢献〜
個性的な長期総合計画策定へ 高清水
宮城大生が全面協力 町民アンケート実施

 高清水町の第4次長期総合計画が、間もなく完成する。自治体の長期計画策定は、膨大な時間と予算を費やして作られる割には実効性に対する疑問もあり、ときに「役人の作文」「役所の自己満足」との皮肉も聞かれる。だが、高清水町のそれは、ひと味も二味も違うようだ。
 長期計画の策定に向け、高清水町が「21世紀まちづくり委員会」を設置したのは昨年1月。同時に宮城大事業構想学部の久恒啓一教授が指導する「顧客満足ゼミ」の学生たちが、調査に全面協力することになった。
 4年前の宮城大開学時、野田一夫学長は「各種総合計画の策定を手掛けるなど、シンクタンクとして地域社会に貢献する大学を目指す」と語った。高清水町の長期計画策定への参画は、こうした開学の理念を実践する第1号となった。
 小規模自治体の場合、長期計画の策定に必要なデータ収集などを民間コンサルタント会社に発注する例も少なくない。尾形勝通町長も「以前は、東京のコンサルタント会社から分厚い報告書が送られてきて、それで終わりだった」と振り返る。
 「町民のニーズを詳細かつ的確に把握、分析する」(久恒教授)との発想で、高清水町民の宮城大生の合同チームは、7月に小学4年生以上の町民全員を対象とした記入式のアンケート(16項目)を実施。久恒教授は「小さな町であることを逆手に取った全国的にも珍しい手法」 と説明する。
 アンケート結果を整理し、合同チームは最終的に「教育環境の充実による人材育成と、有名なわき水・桂葉清水に代表される自然資源の活用」を町の理念として提言した。
 久恒教授は「これまで数々の行政改革が失敗してきた理由は、住民ニーズを無視して小手先の予算削減に主眼を置いていたためだ」と指摘する。これにこたえて尾形町長は「膨大なアンケート結果を今後のまちづくりのバイブルとしたい」と語る。
 宮城大との連携で個性的な長期計画を策定しつつある高清水町の取り組みは今後、他市町村の手本にもなりそうだ。   (築館支局・佐藤奨)

2001.2.14
河北新報

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