特集・変革の嵐を突破できるか
仙台七夕は特徴がない、マンネリ、廃れる伝統。どうする?

 宮城県立宮城大学(黒川郡大和町・福田正学長)事業構想学部の、久恒啓一教授による顧客満足ゼミを受講している学生五人が、「仙台の祭り・イベント調査とその提言書」(笠間健代表)という、興味深い提言書(全十九ページ)を発表した。
 他の七夕とどう違うのか、マンネリ化している、伝統が廃れているという三つの問題点について考え、提案している。
 仙台七夕と言えば、東北を代表する三大祭りと呼ばれているにもかかわらず、近年では中心部の地元商店街の数が減り、祭り自体も今ひとつ盛り上がりに欠けてきている。同時に観光客も減少という現実を目の当たりにし、学生達が七夕の歴史を紐解きながらその原因と今後の七夕のあり方を探ったもの。
 まず、学生達の着眼点だが、「伝統行事の七夕を活かし、仙台の風土に合ったもので、仙台市民の活力を活かすもの」ということからスタート。原点の七夕の歴史から調査した。ここでその一部に触れてみる。
 [歴史] 七夕はもともと中国の乞巧奠(きっこうでん)という七月七日夜に行われる工芸の上達を願う星祭りの一種で、白鳳期に日本に伝わり、宮中行事として普及。東北地方では先祖崇拝「ナヌカビ」「田ノ神信仰」が七夕と融合し、江戸期に伊達政宗が「七夕さん」と呼び振興。
 その後、細々ながら民俗行事として残り、昭和初期に東北産業博覧会を契機に商店街振興の一環として大々的に復活。太平洋戦争終結の翌年、早くも一番町に五十二本の竹飾りが立てられ、更に翌年昭和天皇東北巡幸で沿線街道に五千本もの竹飾りが立ち並び、七夕の完全復活が達成された。
 こうして仙台七夕は戦後復興のシンボルと、商店街振興の手段の成功例として神奈川県平塚市など全国の市町村で仙台七夕を範とする七夕祭りが開かれ、一説には八十以上存在しているという。
 [現状] もとは仙台七夕を範したとされる平塚の七夕まつりが、火災日数は多いものの観光客動員数が三百十万人(五日間)と仙台の約二百十万人(三日間)にまさっている。また娯楽とされていた祭りが近年の娯楽の多様化で、興味の対象からはずれ、同様の祭りが各地に点在することによって、わざわざ仙台まで足を運ばなくても見られるようになった、などを挙げている。
 仙台市中心部においてアンケートをとった結果、十から二十代の多くは仙台七夕に不満が多く、マンネリ化で仙台市民でさえ祭りに毎年足を運ぶことが少ない結果となっていた。そこで問題点として挙ったのが「他の七夕との類似点」「マンネリ化」「伝統のすたれ」と言うことに行きつき、「仙台七夕の売り」「参加型催し」「原点回帰」を元に次のように提案されている。

五感に訴える祭りを作れ

[提案]
 味覚 他の七夕祭りとの差別化のためにも宮城の豊かな食材を活かした食のアピール(具体的には宮城県主催の食材王国みやぎと合致させる。昨年十一月に行われた、若手料理甲子園の開催も合わせて食をアピール)。
 聴覚 七夕には「音」がない。ジャズフェスに代表されるように、仙台にはアマチュアミュージシャンも多くいるので、見る人への楽しさを提供し、市民参加型の祭りに脱皮を図る。
 触覚 手足を使って楽しめる企画ということで、全市小学校対抗七夕飾りコンテスト、観光客が持ち帰れるようにミニ七夕教室を開催。また常時開設の「七夕博物館」、市民が常に七夕祭りを意識できるように七夕サークルの発足によって七夕ファンを増やす。
 嗅覚 以前は先祖崇拝の象徴だった「七夕線香」の復活。防災上の観点から戦後途絶えてしまったが、時間帯や専用区域を用いることによって行う。
 視覚 昔ながらの仕掛けものを復活。美術・デザインを学ぶ若者の発表の場とする。また市民の浴衣パレードや小学校、幼稚園児童による七夕飾りコンテストの開催によって子供やその親も間接的に参加できるようにする。
 感性 仙台の顔となるミスター伊達政宗、ミス愛姫を選出。七夕の織姫・彦星を仙台のシンボルに置き換える。

若いパワーで変える

 以上を調査の結果から編み出した。このプロジェクトの代表を務めた笠間さんは「調査をすすめるうちに、戦後多くの都市で同様の祭りが仙台七夕を範して行われるという事実が判明。多くの観光客にとって事実上YOSAKOIソーラン祭りと同様、仙台七夕も良くある感じの祭りになっている現状が認識された。その結果、プロジェクトは仙台七夕の競争力が新たなテーマとして浮上し、差別化を考慮したものとなった」と話す。
 指導に当たった久恒啓一教授は、短時間で歴史から掘り起こし、現状を認識したうえで提案まで行っている力作であると述べ、「学生の都でもある仙台市は、学生の意見をもっと聞いて参加させ、若い人の力で仙台を活性化するべき。そういった意味でもこの提言書は起爆剤となるのではないか」と語っている。
 このプロジェクトでは、このほか通年行事で行われている仙台のお祭りも取り上げていきたいと意欲的で、行政、商工会議所等、祭りに関係する人々の頭を悩ませている問題の特効薬になっていきそうだ。

2002.3
仙台経済界2002年3-4月号
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