4■奥が深い矢印表現
物事同士の関係には順接の関係、逆説の関係、対立の関係、依存の関係など、多種多様な関係があります。図解コミュニケーションでは、それら全てを基本的にまると矢印で表現します。
丸は構造を表す事が出来、さらに部分同士の関係も表現できるという特徴があります。二つ以上の丸を使う場合、配列や大きさ、強調、重なり具合、配置された場所などで、丸同士の関係を無理なく表現することができます。
それに対して矢印は、部分同士の関係を直接的、意識的、積極的に表現しようとするものです。つまり、矢印は関係を強調するという役割を担っているのです。
たとえば、過去から現在、そして現在から未来への流れを矢印で表現する場合、過去から現在への流れは太く、現在から未来への流れは細くするという表現方法があります。逆に、未来へ向けて矢印を次第に太くしていくという場合もあります。
このように矢印の使い方しだいでいろいろなニュアンスを表現することもできます。
たとえば、未来の不確実性を表したければ、点線や鎖線の矢印を使う事で表現できます。また、同一図解の中に、意味合いの違いや強弱を表現したい場合には、その部分の矢印にアミをかけたり、カゲをつけることをおすすめします。
因果関係を表現する場合にも、原因から結果へ向けての矢印の大きさや太さなどの表現の仕方によって、関係の強弱を微妙に表すことができます。因果関係の複雑さも、相互の矢印の使い方の対比をみせることによって表現できるのです。
また、矢印の先端の三角形や角度を工夫することで、よりいっそう多彩な表現が可能になり、矢印ひとつとっても、かなり奥が深いということがお分かりいただけるでしょう。
さらに、矢印の工夫だけでは意図がうまく伝わらないという不安がある場合には、「ゆえに」、「したがって」、「しかし」などの接続の言葉、関係を表す言葉を、矢印に添えて表現すると効果的です。
とくに初心者の段階では、部分同士の関係を意識的に考えるための訓練としても、関係を表す言葉を添えることをおすすめします。
この丸や矢印の活用によって、物事の関係や構造を表現するという作業は、物事の本質を知るための洞察力を高めてくれます。このように図解の能力を高めることは、自分自身の能力向上のための最適な方法でもあるのです。 |