1■よい企画は優れたネーミングから
「企画」をたてると言うことは、ただ単に「企画書を書く」ということではありません。
「企画」とは、事業やある分野のプロジェクトを実際に立ち上げていく「やり方を立案する」と言うことなのです。
私はこの行為を、子供を産んで育てていくことに近い行為であると感じています。
私たちは子供が生まれると、まずはその子の名前を考えます。そして、その名前ひとつが、その子の人生に大きな影響を与える場合もあります。
たとえば、「直」と書いて「すなお」と読ませる直君という子に会うと、「素直な人間に育ってほしい」という親の願いが込められていることを感じます。その願いが届くと、その子は名前にふさわしい人生を付け加えていくことになります。
企画も同様で、まずはプロジェクトによい名前を付けることで、成功へのステップを踏み出す事が出来るのです。
プロジェクトの名前が、自分の属している企業に貢献できるというイメージだったり、社会に貢献する未来への展望を持っていたり、意識が高く、斬新で魅力的だったとします。そして、その名前から生まれたコンセプトが、広がりや深みなどがあって、よく練られたものであれば、その企画は成功に向けて好スタートを切ったと言えるでしょう。
つまり、命名がうまく行われると言うことによって関係者間に共通のイメージが芽生えることになり、企画の実現に向けての強いエネルギーを導き出すことが出来るのです。
命名された名前に、指し示す方向や優れたコンセプトが盛り込まれていれば、 その実現に向けてヒト、モノ、カネを中心とした、全ての資源を集中して行く基盤が整ったといえるのです。
また、いくつかのプロジェクトを同時に立ち上げる場合、それぞれが相反する動きでお互いの足を引っ張らないよう、各プロジェクトに相乗効果を生むような名前を付けて、いとおしみながら育てていくことが肝心です。
優れた経営者、リーダーシップのある政治家、徳の備わった宗教家など、一流のリーダーには、例外なく優れたネーミング能力を身につけています。彼らはその能力で、自らの王国を築いていくのです。 |