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[1896]
金子雄二さんの書評
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2003/2/11 (火) 19:44:04
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久恒啓一
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今回紹介の本は多少異色の本です。異色とは、題名にもある通り『図で考える…』と新たな思考方法が提起されていること、プロジェクト・マネジメント(PM)にも適用出来る点にあります。私的なことで恐縮ですが、著者の久恒氏とは幾つかの接点がありました。その接点の一つが『NPO知的生産の技術研究会』(略称:知研)での定例勉強会でした。今回は知研の件は触れませんが、関心のある方はホームページ(
http://
www.
tiken.
org
)をアクセスして下さい。そこに顧問として著者の名前があります。実は筆者も20年位前にこの知研のメンバーで勉強会に参加していました。その当時から著者は『図で考える』をテーマに研究され、勉強会でも発表され出版もされていたと記憶しています。著者のこのテーマには歴史があることと、現在宮城大学教授としてこのテーマで教鞭をとられています。今回はPMという観点からこの『図で考える』を考えてみようと取り上げてみました。
著者は「図解仕事人」であると宣言している通り、図解を自ら考え実践して多方面で活用されています。具体的な例として、2001年の経済財政白書を図示(この本では省略)したり、著者主宰のゼミで学生と共に、ホテルへの提言、仙台・宮城の玄関調査や、雪印乳業の信頼回復のための提言等を図解に仕上げて発表しています。あらゆることを図解にするチャレンジもしています。確かに文章で書かれたものより図で示されれば簡単に理解できます。道順を人から教えてもらう時、口頭や電話で言われてことをメモしても中々うまく理解できません。所が図や地図で示されると直ぐ分かるものです。普段、話を聞き文章を読んで頭で考えて理解する習慣がついているので、図示しようと思っても上手く書けないものです。そこでこの本から図解を学び、実践する方法を学んでみたいと思います。著者の経験から「図解は一日にしてならず」「頭でなく、手で考える」この点を頭でなく手に入れて実践する必要がありそうです。
以下続く、、、
[1897]
Re:金子雄二さんの書評
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2003/2/11 (火) 19:47:38
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久恒啓一
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図解は考える習慣をつくる ―― プロジェクトマネジャーは考える人である
著者は「図解とは情報のデザインである」といっています。ここでいう情報とは、話であり文章であり、図式等です。言葉や文字文化に慣れてというか、そういう生活が身についているので、多少理解に曖昧さがあってもそれをまた言葉や文章で補っています。一般的な生活では話しことばが先で、次に何かを書きとったりするもので、所謂習慣として書くことから始まっていません。所が、ビジネスの世界では話をする前に、文章として書いてから提案なり決済がおこなわれています。所謂、記録・契約する文章の世界です。文章は読み方で解釈が異なるケースがありますが、図示されると誰が見ても理解し易く、解釈が異なることは余りありません。一般的に、文章を書くことに慣れている人は文章を書くことが苦になりません。しからば図示出来るかというと簡単にはいきません。人間の脳は左脳=論理的思考、右脳=感性的思考とあり、この図式で考えるのは右脳を働かせることです。この訓練(多分物事を図式で考える右脳を鍛える)をすれば、誰でも図解はできると著者は書いています。我々はプロジェクトを前に、色々考えながら仕事を進めています。考えてはいますが、論理的(文章)であってイメージ(図解)としてではありません。PMBOK(日本語訳本)の冒頭にプロジェクト・マネジメントの構成要素が図示されています。あの図解から誰もが等しくPMの理解を深めたと思っています。図解を深める方法として、文章を「図読」する考えで、右脳を鍛えれば自然に図解に繋がると書いています。PMには図読の訓練をしながら図解にチャレンジすることが必要なようです。
図解はコミュニケーションを助ける ―― プロジェクトマネジャーはコミュニケーションが必須である
図解は文章に比べ、直ぐに同じ理解が得られます。このことは物事をよく理解し、それをベースに考えて人に間違いなく伝えるという、人間の思考プロセスがコミュニケーション力を助けています。相手に物事を伝える所謂コミュニケーションをするには、先ず伝えるべきことを、間違いなく、早く理解することからはじまります。この間違いなく理解する方法として図解が役にたつのです。この理解のプロセスを著者は三段階に分けています。第1段階が、個々の部分を知識として「バラバラにわかる」段階。そして第二段階が各部分のつながりが見えるようになり「全体的・体系的にわかる」という段階。最後の段階が自分自身の方法を使って「表現できる」という段階だそうです。このプロセス(理解して、思考して。伝達する)こそが図解の実践であると書いています。PMは顧客に対して、会社に対して、プロジェクトメンバーに対して正確にコミュニケーションしなければなりません。プロジェクトの目的、リソース、それぞれの役割、スケジュール、問題点等々、相手によってそれぞれを正確に伝えることです。家を建てる時の例が書かれてありますが、正に施工図面で工事関係者に情報が正しく伝わります。進捗工程スケジュールに合った図面がキーポイントです。プロジェクト仕様書や設計書(といっても図面ではなく、大半が文章であるのが現状です)に図解を入れるには、時間的に技術的に可能なら出来る限り取り込んだ方が良さそうです。図解を取り込んで情報を早く正確に伝えられるので、PMにも大いに活用できます。自分の見方・考え方を引き出す為にもトライする価値がありそうです。
[1898]
Re2:金子雄二さんの書評
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2003/2/11 (火) 19:47:51
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久恒啓一
customer106-10.mni.ne.jp / Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; .NET CLR 1.0.3705)
図解はスコーピングできる ―― プロジェクトマネジャーはプロジェクトのスコーピングが不可欠である
世界地図、日本地図は全体を見る上で必要です。現在でも鳥瞰図というものがあります。これは鳥の目で全体を上空からながめた状態を絵にしたものです。この鳥瞰図が図解であると著者はいっています。図解は著者の専門ですが、同じようなことを実践した2名の方が実例を持って紹介されています。一人がアメリカのGE(ジェネラル・エレクトリック社)のジャック・ウェルチ氏と、もう一人が、セコムの創業者である飯田亮会長(現最高顧問)です。飯田氏の例は割愛しますので、本を購入されて読んでください。
ウェルチ氏といえば、GEをリストラクチャリングした、経営者の代表的リーダとして、知らないビジネスマンはいないと思います。その経営改革を推進する上で大きな役割を果たしたのが、一枚のシンプルな図であったことが書かれてあります。タイトルは有名な改革方針である「ナンバーワンかナンバーツーでなければ『再建か、売却か、さもなければ閉鎖』」です。そこに円を三つ多少重なるように描き、それぞれの円がこれからのGEの基幹事業となるものです。一つがGEの中核となる製造事業群、二つ目が将来の収益性が期待できるハイテク事業群、三つ目が低コスト高収益のサービス事業群として、それ以外は再建が云々で明確に図示してあります。この図解が、ウェルチ氏の戦略を伝え、実現するのに大いに役立ったといわれています。誰が見ても理解でき、余分な論議を生まないためにも図解は必要です。図解して全体をスコーピングしてはじめて、問題の本質が見えてくると著者は書いています。「仕事とは図解を作ること」と心に決めて、これからの新たなPMの方向を目指す一助になればと思って紹介しました。
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