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2002/5/4 (土) 18:40:49 久恒啓一
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久恒啓一「図解仕事人」を読了した。この本、元々ビジネスマンだった著者(現大学教授)が「プレゼンテーションとは何か」を一つの形で示した本である。つまり、「文章を書くな、図解で示せ」がこの本を通じて常に語られる「テーマ」なのだ。なんだ、ありきたりだな、という考え方は読みが浅い。図解することの意義をこの本を読めば実に痛切に感じるようになる。それだけ我々は「文章」というものに縛られているということも言える。

 著者の論理は明快だ、「文章にすることで論旨が曖昧になる」というのだ。それだけ日本語という文章はあやふやさを含んでいる。本当の意味での伝達すべき内容は文章ではなくて「図解」することで曖昧さから解き放たれる。そして図解を通して情報をいかに伝達するか、それがこの本の主題となっている。

 ビジネスマンだった著者は「知的生産の技術」研究会を通して「いかにして出力するか」の技術を磨いていったという。その中で得た真理とは現代社会における知的生産活動は「理解し、考え、表現する」ことだという。まず情報を収集し理解する。それを自分の中で考え、一つの形にする。最後はそれを他者に伝える。その繰り返しが「知的生産活動」であり、例えばビジネスマンにおける「仕事」そのものになるというのだ。言われてみれば確かに我々が毎日繰り返していることは「情報を集め、まとめ、報告する」ことの繰り返しだろう。その情報が「技術」であることもあれば「市場調査」であることもあるだけだ。

 この「理解」し「考察」し「表現」する中で情報をどのような形で変換するかがポイントになる。文章にすると曖昧さを残し、かつ無駄なものを含んでしまうために有効に活用できない。理解するときも、考察するときも、そして最終的に表現するときも全てに図を使えというのだ。ここまで徹底して初めてわかることがある。例えば読書するときも漠然と読むのではなく、一冊の本を一枚の図にまとめてみる。そうやることで主題が明確化し、本当に必要な情報を取り出せる。言われてみればそういう手法は効果的だろう。

 となると、我々が普段書いているような報告書の類も実は一枚の図にすることでシャープなものにすることができるのかもしれない。文章の持つ曖昧さを消し去り、誰にでもわかる図に変換する。その思考方法の変更こそが実は一番重要なことだろう。そして最終的な出力は当然図解となる。その最たる例はホームページだろう。自分の言いたいことをいかんなく表現できる場所、それこそがホームページだ。実際この「柳緑花紅」もそういう発想からスタートしている。だからこそ著者の言いたいことはよくわかる。そのホームページを図にするとどうなるか、これは百聞は一見にしかず、一目瞭然だ。確かに情報を全く違った形で伝えることが可能なのがわかる。

 この本を読んですぐにすべてに実行することは難しい。しかし、やってみる価値は十分にありそうだ。まずは自分の仕事のアウトプットをいつもと違った形に変えてみること。それはやってみたい。常に「理解」「思考」「表現」を意識し、図を中心にやってみる。何かが変わりそうなそんな予感は十分にもてそうだ。


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