スポーツニッポン 平成10年3月18日
長野パラリンピックに続け2001年地元国体障害者全面参加へ

 長野パラリンピック冬季大会が成功裏に幕を閉じたが、県内でも十五日に市民団体が主催した第3回バリアフリースキー大会に、昨年までの3倍近い百二十人が参加するなど、障害者スポーツへの関心が高まっている。二〇〇一年みやぎ国体のデモンストレーション(デモスポ)行事では、国体史上初の障害者スポーツの実施が決まっている。関係機関は、障害者と健常者の壁を取り払った"バリアフリー国体"にしようと動き始めている。
 長野パラ五輪で福祉への関心が一気に高まったが、21世紀幕開けの国体を控える宮城では、福祉先進県づくりにすでに動き出している。
 福祉を通したベンチャービジネスなどに詳しい宮城大の久恒啓一教授(四八)=ビジネスコミュニケーション=は「みやぎ国体、二〇〇二年W杯サッカーは、バリアフリーPRに絶好の機会。」障害者に最高のもてなしができる環境づくりうをすることが、最終的に県民の優しさを引き出すことになる」と提言する。

バドミントン、綱引きで初の試み宮城大久恒教授"壁を破ろう"
 久恒教授は昨年四月の宮城大開校と同時に日本航空(JAL)から同大に就任。JALで広報課長やサービス委員会事務局次長を務めた時「障害者と呼ぶだけでも好ましくない。優しさを表現できる言葉を」と「プライオリティゲスト」(優先的配慮をすべき客)と名づけてサービス向上運動を展開し反響を呼んだ。
 宮城では、国体後に開かれる全国身体障害者スポーツ大会とは別に、国体デモスポ行事で障害者のバドミントンや綱引きなどを国体史上初めて実施。県国体推進局やW杯準備室では、バリアフリーをキーワードに「データを集めている」と話すにとどまっているが、さまざまな角度から検討を始めている。浅野知事は「国体やW杯の期間はもちろん、その前後に訪れる旅行者も大切にする」との考えだ。
 障害者への対応を一つのモデルケースに、人と人の触れ合いを大切にしたバリアフリー作戦。県民をも巻き込んだ全県的運動に発展しそうだが、県民レベルの盛り上がりを作れるかどうかが、ポイントだ。(高橋 雄二)
スポーツニッポン社提供

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