スポーツニッポン 平成9年9月30日
ブランメル再建の輪
 資金確保、成績不振にあえぐJFLブランメル仙台に、強力なサポーターが出現した。今春開講した宮城大(野田一夫学長)のサークル「デュナミス」だ。十月にはインターネットにブランメルのホームページを開設して意見交換の場を設けるほか、ファンからアンケートを集め、県民がチームに何を求めているかを分析し、再建に必要な資料をブランメルに提出しようと計画している。
インターネットで宮城大サークルが強力サポート

 「デュナミス」はパソコンを使ったマーケティングの研究とともに、将来的には情報を媒介にしてアルバイトもできるクラブにしようという夢を持ったベンチャーサークル。事業構想学部の学生を中心に学生二十三名が所属している。
 デュナミスがブランメル仙台の力になろうと動き出したのは五月。チーム関係者から「県民の盛り上がりをつくるために、何かいい手だてがないものか」と相談を受けた事業構想学部の久恒啓一教授(情報表現論)が学生に呼び掛けたところ「将来的に自分の実になることをしたい」と、サークル創設を考えていた学生たちが一気に盛り上がった。
 結果的にはブランメルがきっかけとなって誕生したクラブだが、もともと宮城大の「事業を総合的な観点からプロデュースできる実践的な人材を育成したい」という教育理念に共鳴して入学した学生たちにとって、県民の税金が使われているブランメルの再建問題は、格好の研究材料となった。
 今春まで日本航空広報課長などを歴任してきた久恒教授は、乗客のアンケートを元に、サービス向上に努めたノウハウを応用したい考えで「チームが、県民の声をどう反映させていくかが再建のカギ。情報共有の場を設け、意見、批判や、チームの歴史、成績をデータベース化することで経営戦略に必然的なものが見えてくるはず」と話す。
 学生たちも、ファン同士の交流の場が少なく、県民の声を吸い上げる体制の整っていないブランメルの一助になればとの考えだ。
 社会人で入学してデュナミス代表を務める力丸萌樹(りきまる・もえき)さん(三三)=グラフィックデザイナー=が中心となって活動を進め、十月にホームページを立ち上げる予定。
 デュナミスとはギリシャ語で「奇跡」の意味。ブランメルに奇跡を起こそうと立ち上がる学生たちの行動から目が離せない。(高橋 雄二)

スポーツニッポン社提供

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