平成11年 3月6日 日本経済新聞
東北で産学官連携2組織
宮城県など 高度情報化を推進へ
秋田大工学資源部など 研究成果の活用狙う

 東北で産学官連携の動きが相次いでいる。五日に秋田大学工学資源学部を中心に研究成果の活用を目的にした連携組織が発足、十二日には宮城県で地域の高度情報化に向けた推進組織が誕生する。大学のシーズを企業に移転したり、住民ニーズにこたえるため行政が企業の知恵を借りたりと連携の形は異なるが、分野や目的の多様化するなど産学官連携の動きが広がり始めた。

 産学官が連携し地域の情報ネットワーク整備を推進する「宮城県高度情報化推進協議会(仮称)」が十二日、発足する。参加を予定しているのは宮城県、仙台市など二十四自治体、東北電力、日本電信電話(NTT)、カメイなど企業八十四社のほか、NPO(非営利組織)など十二団体と東北大、東北学院大、宮城大の教授らで五日時点の会員数は百二十三。九十九年度中には県内全市町村が参加する見通しだ。
 協議会の会長には浅野史郎知事、副会長には県商工会議所連合会の斎川慶一郎会長、藤井黎・仙台市長、平野博・柴田町長が就任する予定。
 行政情報や生活・産業情報を網羅する中核的情報センターの整備など地域の情報化構想づくりをしえんする。情報化対応は主要な行政課題になっているが、専従の担当者を置いていない市町村レベルではなかなか対応できない。協議会は立案に当たって専門家のコンサルティングを求める行政とビジネスチャンスをつかみたい情報関連企業の”商談”の場ともなる。
 大学から参加予定の東北大の白鳥則郎教授(電気通信研究所)、宮城大の久恒啓一教授(事業構想学部)らは情報技術や事業化などの面でアドバイザー役を務める。また、協議会ではNPO間の情報ネットワーク構築や一般向けのマルチメディアフェアなどイベントも手がける考えだ。

日本経済新聞提供

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