1990年9月15日(土)
広がる再生紙使用運動

トレンドウォッチング
 古紙の再利用の動きが広まるなか、再生紙を採用した社内報が登場、注目を集めている。日本航空は、「おおぞら」をはじめ社内4紙誌を全て再生紙に切り替えた。この試みは、企業としては日本でも初めてとあって、地球環境の問題に関心の高い同社の社員の間で評判がいい。他社への影響も大きいとみられている。

関心高まる“環境の保護” JALでは社内報で活躍
 「7月に社内に地球環境委員会が発足したんです。それぞれの職場で身近な所から着手しようということで、膨大な部数の社内報からやってみようと思い切ったわけです」こういうのは社内報を一手に受け持つ広報部の久恒啓一課長。
 ともかく、同社の社内報は、月刊「おおぞら」(64ページ)が2万6000部同英語「OHZORA」(50ページ)が5000部、週刊の「WEEKLY」(4ページ)が2万3000部、行動誌「ACTION PROGRAM」(4ページ)が2万3500部とすごい量だ。
 紙の使用量は1826連で、1連を新聞に換算すると4000ページ分に相当するそうだ。
 7月号からスタートしたが、社内の評判は上々。森林保護に思いをはせてもらおうという狙いの表紙も、すくっと伸びた木々のこずえのカラー写真が社員の心に強く訴えたようだ。
 「再生紙とは思えない。結構きれいだ」「古紙混入率40%の再生紙だそうだが、ぜんぜん分からない」「もっと社内で再生紙を使う分野を広げていいのでは」など大歓迎の意見が続出している。
 「資源のリサイクル意識は女性の方が強いようですね。まだ再生紙は従来の紙より3%割高ですが、思い切って踏み切ってよかった」と久恒課長は、今後社内の再生紙使用運動が盛り上がるものとみている。
 日経連社内報センターは約2300社の会員会社に社内報作りの情報提供をしているが、「再生紙を使った社内報はこれが初めてではないか」と言っている。
 広報誌に再生紙を使う自治体が相次いでいるが、企業にも資源再利用の努力が求められており、この日本航空の英断で、各社とも社内報の再生紙使用が出てくるのでは、というのが、大方の見方だ。
 「紙の使用量では日本でも有数の会社といわれているだけにこの成功をきっかけに利用範囲を広げてゆければ」と日本航空の広報部。同社に限らず、航空会社や旅行会社は『紙爆弾』といわれるほどパンフレット類の多いところ、大いに追随してもらいたいものだが…。

報知新聞

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