実学を建学の精神に掲げる宮城大(大和町、野田一夫学長)の事業構想学部の学生たちが、近所にある仙台ロイヤルパークホテル(仙台市泉区)に“果たし状”を突きつけた。と言っても、顧客満足ゼミ(久恒啓一教授)の一環として、ホテルのサービスを点検し、提案書を提出するという友好的な挑戦だ。ホテル側は「われわれが気付かない点もあった。若い学生さんの提案は大歓迎」と、早速一部の提案を取り入れた。
客を装い視察 接客や利便性点検 具体的な改善プラン示す
顧客満足ゼミは事業計画学科3年生10人で構成。ゼミ活動の一環として11月、客を装い、同じ泉パークタウン内にある仙台ロイヤルパークホテルを「視察」した。同ホテルは、経済専門の週刊誌で昨年11月、全国でもトップクラスのサービスとの評価を受けた。
今回の結果をもとに、顧客満足度の観点からまとめたのが「ロイヤルホスピタリティーの更なる向上を目指して」と題した提案書。接客や利便性などで感じたことを「お客さまと一緒に育つホテル」「地域との共生・連携」「小さな事=大切なこと」というキーワードで分類し、提案をまとめた。
具体的には、「庭のさくなど雰囲気に調和したを使う」「うるさくない程度に案内表示を増やす」「セクト主義にならず従業員の連携をスムーズに」「周辺サービス施設と提携する」「周辺マップをロビーなどに常備する」―など。
提案書は昨年12月、ホテルを経営する東北ロイヤルパークホテルの相京智彦社長をはじめ、宿泊、料理、営業、総務など各部門長が出席した説明会で手渡された。
ホテルから回答が届いたのは1月末。回答書ではホテルの運営理念を説明した上、「コメントカードの設置場所は検討中だった。時宜を得ている」「池のさくは早速取り外し、自然木を講じた」などと、提案に基づく実行例を挙げていた。
林正一取締役総支配人は「近隣書店との連携による『ホテルライブラリー』など、地域との共生・連携の提言もあった。大変面白く、参考になった」と話し、学生たちの発想の豊かさについても「この業界は既成概念にとらわれない人材が求められている。宮城大には大いに期待する」とエールを送っている。
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