古川市が策定を進めている市農業・農村振興中期計画について調査検討している、市農業・農村振興対策審議会(会長・久恒啓一宮城大事業構想学部教授)は先月28日、諮問案を原案どおり了承することを佐々木謙次市長に答申した。答申を受け、市は9月中旬をめどに計画を策定し、本年度から実施に入る予定。
この計画は、社会構造の変化に伴い生鮮農産物の流通が減少傾向にある一方で、消費者し好は多様化しているなど環境が変化している中にあって、農業を基幹産業に据える古川が新世紀において進むべき方向、課題解決の方策を示すもの。
諮問案では、計画の理念を「それぞれのライフスタイルにあった農の貢献-住民満足度の極大化-」とし、(1)消費者視点にたつ農業(2)もうかる農業(3)魅力ある農村-の確立を目的としている。期間は平成12年度から16年度までの5ヵ年。
目的達成に向けた施策としては、経営、経営環境、農村環境ごとに提唱。経営面では水田農業・園芸・畜産の生産性向上支援、経営環境面では多様な人が就農できる条件、食料消費と生産の資源循環システム、古川産農産物の情報受発信システム、古川産農産物を食材とした食文化拡大、就農男女の社会参画の支援、農村環境面では地域社会の混住化対策と農村における生活環境整備の支援をそれぞれ掲げている。
これら施策1つひとつにおいて、さらに詳細に具体策が述べられているほか、それぞれの目的、施策が文章とともに体系図でも示されているのが特徴。また、施策を展開していくうえで、行政、農協、改良区、農業共済組合、地域、農業者、消費者別の担当まで示されている。
学識者や農業関係機関、農業者、市民代表ら12人で構成する同審議会は5月から3回にわたってこの諮問案を調査検討した結果、論点、解決の方向性、関係者の役割分担が明確で、体系的にも良くまとまっていると評価。この日、久恒会長が市役所を訪れ、(1)住民起点に立った事務事業評価手法の開発、公表(2)広報の徹底(3)計画期間中でも適宜見直しを行う-の付帯意見を添え、諮問案を原案どおり了承することを佐々木市長に答申した。
久恒会長は「就農男女の社会参画や食文化の拡大、混住化が進んだ農村におけるコミュニティー形成などにまで具体的に対策が述べられており、県内でもモデルとなる計画として注目される」
と高く評価している。
市では同計画によって「特に消費動向を見据えた戦略展開、農業の持続的発展に期待したい」としている。
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