1995.11.5
浜中敏幸執筆
BOOK 久恒啓一著『入門知的生産の技術』

 
 今日のような情報社会においては、多くの仕事が「知的生産」の要素を多分に持っている。この知的生産の能力は、情報力、要約力、編集力など十の「力」を身に着けることで高められる、と著者はいう。その中の一つ、情報力は身に着ける要諦を、著者はこう指南する。
 最新の重要な情報は雑誌や書物の中にはなく、人々の頭の中にある。この人々の間を流れている未整理の情報は、さまざまな分野の人に会うことで収集できるので、人脈を常に維持し、拡大することが肝要である。
 また、要約力の高め方については、こう説いている。すなわち、要約力には次の三つの段階がある。(1)適切な文脈の中で正しく引用できるか(2)全体の要旨を適切に圧縮できるか(3)自分の言葉で説明できるか−である。この三つの段階をもっとも早く上っていく方法は、本を読んだら、その内容を一言で表現する練習を積むことである。それは同時に、読書を知的生産に生かす技術の習慣にもつながる。
 著者は本書の中で、およそこのように知的生産の技術を解き明かしている。(大和出版 一、三五○円)
 

週刊サンデー世界日報

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