ゼミのテーマは「あらゆる産業を顧客の視点で考える」こと。航空会社の社員から転身した久恒啓一教授は「体験したことしか身につかない。知識は後からついてくる」がモットー。この言葉通り、学生は宮城スタジアムの利用方法、ホテルの経営改善策、県内市町村の街おこしなど、まず「地域の事業」を題材に提言をまとめる。出来上がると当該企業や主催団体に出向いて説明する。
ゼミ生は三、四年生の約三十人。四年の岩澤仁子さん(22)は、仙台市の住宅関連企業を取り上げ、顧客と経営者、営業担当者にそれぞれ聞き取り調査を行なった。その結果をまとめ「経営者が抱いている構想と営業レベルで説明している商品内容との間にズレがあることが分かった」と経営陣に説明した。
製薬会社への就職が内定している四年の菅原正之さん(22)は「営業職に就きたいと思い、このゼミを選んだ。学生時代に企業の問題点を実際に取り上げたことで、自信が生れた」と話す。
ゼミ生が設立した「ベンチャーサークル」は昨年、イベント企画・運営やコンサルティングを行なう合資会社に移行。卒業生とゼミが一体となって、地元の活性化を探っている。
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