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連載第24回 静的な「構造」から動的な「関係」へ

静的な「構造」から動的な「関係」へ

 最近、「構造化」という言葉をいろいろな場面で聞くようになった。地域活性化の専門家は「現状を構造化していくべきだ」と言っている。学校の教員は「知識を構造化して教える必要がある」と語る。また知の総本山を自認する東大は「知の構造化」と言う旗を立てて改革に邁進中である。
 たしかに箇条書きで知識の断片を平面的に並べてきたのが、私たちの社会のやり方であったから、その断片同士が織りなす構造はどのようになっているかという観点から吟味をする習慣をもつことは意味があると思う。構造化とは部分同士の適切な並び方を考え、大小を吟味し、立体的な形に転換し、ある世界を筋道の立った解釈で説明することだといえるだろう。

 (中略)

 構造化という静的な知識の体系の構築を土台に、関係という動的でダイナミックな視点をもちたい。そもそも関係という概念は構造を含んでいる。関係は大きくしかも柔らかい概念なのである。私たちは「関係」という視点をもちつづけていくことで、ビジネスでも豊かな実りを手にすることができるだろう。

2007.11
月刊ビジネスデータ
キャリア開発史 久恒啓一の紹介